シネマニュース

【中国映画コラム】全てが“死”との対話だった ワン・ビン監督が語る8時間26分の超大作「死霊魂」

2020年8月2日

(C)LES FILMS D'ICI-CS PRODUCTIONS-ARTE FRANCE CINEMA-ADOK FILMS-WANG BING 2018

  •  北米と肩を並べるほどの産業規模となった中国映画市場。注目作が公開されるたび、驚天動地の興行収入をたたき出していますが、皆さんはその実態をしっかりと把握しているでしょうか? 中国最大のSNS「微博(ウェイボー)」のフォロワー数278万人を有する映画ジャーナリスト・徐昊辰(じょ・こうしん)さんに、同市場の“リアル”を聞いていきます!


     名匠ワン・ビンが2018年に製作したドキュメンタリー「死霊魂」は、カンヌ国際映画祭公式作品史上最長となる8時間26分。この超大作は、全世界に大きな衝撃を与えました。「鉄西区」(「工場 鉄西区 第一部」「街 鉄西区 第二部」「鉄路 鉄西区 第三部」)、「鳳鳴(フォンミン) 中国の記憶」に続き、山形国際ドキュメンタリー映画祭2019では、3度目の大賞を獲得しています。


     題材となったのは、1950年代後半、中国共産党によって突然「反動的な右派」と名指しされた55万人もの人が理由もわからずに、夾辺溝再教育収容所へ送られた「反右派闘争」。生存率10%とも言われた収容所から生き延びた人々が、半世紀以上の時を経て、カメラの前で語る様子をとらえています。元々は4月4日に封切りを迎えるはずでしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて公開延期に。待ちに待った劇場公開(8月1日)を前に、リモート取材で行ったワン・ビン監督のインタビューをお届けします!


    ――1950年~60年代に行われた「反右派闘争」。いつ頃から興味を示しましたか?


     楊顕恵さんの小説「夾辺溝の記録」を読んだことがきっかけとなりました。そこからすぐに動き始め、まずは現地に向かい、色々調査をしながら、多くの当事者に取材しています。


    ――取材時には「死霊魂」の製作を決めていましたか?


     いいえ。どういう作品を作るのかというのは、当初全く決めてなかったんです。楊顕恵さんの小説は素晴らしい。ですが「夾辺溝の記録」で描かれる内容は、真実の一部でしかないと思っていました。私は全貌を知りたかったんです。

    続きを読む